日本に住むAさん(仮の例)の父が亡くなったのは、ある平日の早朝でした。病院から連絡を受け、駆けつけたAさんは、「とにかく、すぐに銀行へ連絡しなければ」と考えていました。しかし、それが後の手続きを複雑にする一因になるとは、このときは知りませんでした。
親の死後にやりがちな「善意の行動」が、相続手続きをかえって難しくすることがあります。知っているかどうかで、その後の家族の負担は大きく変わります。
「親が亡くなった。まず、何から手をつければいいの? やってはいけないことは?」
この記事では、法務省・国税庁の公開資料をもとに、親の死後に最初にやるべきことと、避けたい行動を整理します。
まず押さえたい、3つのポイント
- 「書類の起点」はこの1枚死亡診断書を受け取ったら、すぐにコピーを複数枚用意する。これが、すべての手続きの出発点になります。
- 口座凍結のタイミングを知っておく銀行への連絡は、葬儀が終わってからでよい。「すぐに連絡しなければ」は思い込みです。
- 法務省が運用する無料の仕組み「法定相続情報証明制度」を使えば、複数の機関への手続きを同時に進められます(法務省)。
3ヵ月
相続放棄の熟慮期間。相続開始を知った日から3ヵ月以内に、相続するか放棄するかを判断する必要があります。出典:民法第915条(e-Gov法令検索)
「死亡診断書のコピーを先に取る」とは
病院から手渡される死亡診断書は、以後のあらゆる手続きの出発点です。役所への死亡届、生命保険の死亡保険金請求、銀行口座の名義変更、相続登記など、コピーを求められる場面は想像以上に多くあります。
しかし原本は、死亡届を提出する際に役所へ渡すため、手元には戻りません。受け取ったらできるだけ早く、最低5枚はコピーしておくことが、後の作業を大幅に楽にします。コンビニのコピー機は24時間対応しており、数十円で済みます。
「銀行への連絡を急がなくてよい理由」
銀行は、死亡の事実を確認した時点で口座を凍結します。凍結されると、公共料金の自動引き落とし、クレジットカードの決済、家賃収入の入金なども一切止まります。葬儀費用の支払いにも支障が出ます。
実務的には、銀行への連絡は葬儀後1〜2週間ほど経ってからで問題ないことがほとんどです。死亡を知らせないまま一定期間が経過しても、相続人に法的な罰則が科されることは基本的にありません。
ただし、亡くなる直前・直後に故人名義の口座から預金を引き出すことには注意が必要です。相続放棄の選択肢を失うリスクがあるほか(民法第915条・3ヵ月以内)、他の相続人とのトラブルにもなりかねません。やむを得ない場合は、用途と金額を記録として残しておくことが重要です。
「法定相続情報証明制度」とは
従来、相続手続きでは「戸籍謄本の束」を各機関に順番に提出する必要があり、手続きが長期化しがちでした。法務省が運用する「法定相続情報証明制度」では、相続関係を示した一覧図を法務局に申請すると、認証済みの証明書が何通でも無料で発行されます(法務省)。
この証明書を使えば、複数の銀行・法務局・税務署に同時に提出でき、手続きを大幅に効率化できます。申請は自分でも行えますが、金融機関が複数ある場合などは、司法書士・行政書士への依頼も選択肢です。
なお、死亡直後の戸籍謄本は死亡の反映に時間がかかるため、亡くなってから10日前後経ってから取り寄せるのが一般的です。
最初の1週間の「先にやること」と「急がないこと」
先にやること
- 死亡診断書のコピーを5枚以上取る
- 原本は死亡届の提出時に役所へ渡る
急がないこと
- 銀行への連絡(葬儀後1〜2週間が目安)
- 口座凍結で自動引き落としが止まる点に注意
専門家に聞くこと(チェックリスト)
- 相続財産の総額と、相続税の申告が必要かどうか
- 相続放棄の期限と、放棄に影響する行為がすでに発生していないか
- 遺族年金の受給可否と手続き先(年金事務所で無料相談できる)
- 不動産の相続登記の期限・費用・手順
- 法定相続情報証明制度の申請を専門家に依頼するかどうか
- 相続税の申告・納付期限(相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内・国税庁)
Aさんの場合
Aさんは、父の死後すぐに銀行へ電話しようとして、手を止めました。以前、「まずコピーだけ先に取る」と聞いていたことを思い出したのです。病院から帰る途中のコンビニで、死亡診断書を5枚コピー。それだけで、その夜の作業はひとまず終えました。
銀行への連絡は、葬儀が終わってから約2週間後。その間、父の口座が凍結されることはなく、葬儀費用の支払いにも問題はありませんでした。
その後、司法書士に相談して法定相続情報証明制度を活用。複数の金融機関への名義変更手続きを並行して進め、約2ヵ月で主な手続きを終えることができました。「最初にやることが明確だったので、落ち着いて動けた」とAさんは振り返ります。
出典
冒頭のAさんは、説明のための仮の例です。
本記事は、法務省・国税庁・e-Gov法令検索の公開資料をもとに、日米資産戦略研究所が編集・加工したものです。各省庁が作成したものではありません。
- 編集
- 日米資産戦略研究所
- 出典(一次)
- 法務省・国税庁・e-Gov法令検索(民法)
- 出典(二次)
- 使用していません
- 公開日
- 2026.10.28(出典の確認:2026.10.28)
- ご注意
- AIによる情報収集・分析に基づく、一般的な情報です。税務・法務の個別の判断や助言ではありません。正確性には努めていますが、内容を保証するものではありません。最終的な判断は、必ず、税理士など専門家にご確認のうえで行ってください。
- 専門家の確認
- 未