「社労士事務所を続けながら、自分で立ち上げた会社の代表取締役も兼ねている」。そんな“二刀流”のA社長(65歳・仮の例)が、ある日、顧問税理士から一言を受けた。「役員報酬をそのまま受け取り続けると、老齢年金が全額止まる可能性があります」。個人事業のほうは問題ないと言われたが、その違いがすぐにはのみ込めなかった。
この記事では、個人事業と法人を掛け持ちするシニア経営者を対象に、在職老齢年金・社会保険・国民健康保険のルールを整理します。

「社労士事務所を続けながら、自分で立ち上げた会社の代表取締役も兼ねている」。そんな“二刀流”のA社長(65歳・仮の例)が、ある日、顧問税理士から一言を受けた。「役員報酬をそのまま受け取り続けると、老齢年金が全額止まる可能性があります」。個人事業のほうは問題ないと言われたが、その違いがすぐにはのみ込めなかった。
この記事では、個人事業と法人を掛け持ちするシニア経営者を対象に、在職老齢年金・社会保険・国民健康保険のルールを整理します。

65歳以降に厧生年金を受給しながら会社役員を続けると、在職老齢年金の適用を受ける。ポイントは「合算する側に入るのは法人の役員報酬(総報酬月額相当額)だけ」という点だ。個人事業・不動産・配当などの所得は一切含まれない。
年金月額と総報酬月額相当額の合算が65万円を超えると、超えた分の半分が年金から差し引かれる仕組みだ(老齢基礎年金は対象外)。令和8年4月以前は「51万円」が基準だったため、令和8年4月以降は多くのシニア経営者が影響を受けにくくなった。
法人を立ち上げる前に個人事業者として国保に加入しているケースでは、個人事業所得を含む世帯の合計所得が保険料の計算ベースとなる。令和8年度の賦課限度額(1年間に払う保険料の上限)は次の通りだ。
個人事業として所得が一定水準を超えると、保険料はこの上限に張り付く。法人化して社会保険(協会けんぽ等)に切り替わると国保を離脱するため、この上限の問題はなくなる。その代わり、在職老齢年金のルールが役員報酬に適用される。

A社長(65歳)は社労士として個人事業を継続しながら、自らが設立した株式会社の代表取締役として月60万円の役員報酬を受け取っていた。老齢厧生年金の月額が付に10万円とすると、合算は70万円。时65万円の調整額を•5万円超えているため、月•2.5万円(超過5万円の半分)が年金から停止される計算だ。
個人事業の所得は計算に含まれない。A社長が選んだのは「役員報酬を•5•4万円に下げる」こと。年金との合算が•6•4万円となり、調整額以内に収まった。個人事業からの収入は変わらず、全体の手取りも維持できた。税理士と社会保険労務士への相談が判断の出発点になった。
※この記事は複数の公開情報をもとに日米資産戦略研究所が分析・作成した参考情報です。在職老齢年金の具体的な計算・社会保険の加入義務・国保料の試算については、日本年金機構・社会保険労務士・自治体の国保窓口にご相談ください。
※国保料率は自治体により異なります。賦課限度額は令和8年度の全国一律の上限額です。