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4〜5年落ちの高級中古車は、2年で償却できる——経営者が知るべき車選びの視点

2026.11.05 J.K. Wiltonコンシェルジュ編集部 / 参考:国税庁「中古資産の耐用年数」ほか(確認日 2026.11.05)

写真はイメージです

都内で製造業を営むSさん(仮の例)は、前の記事で取り上げたベントレー「トルカル」のような高級車を、会社の車として検討していました。新車の購入を考えるなかで、「4〜5年落ちの中古車なら、新車より短い期間で償却できる」という話を聞き、車選びの基準そのものを見直し始めたといいます。

調べてみると、中古車の耐用年数は、新車(普通自動車は6年)よりも大幅に短く計算できることが分かってきました。

車の価格だけでなく、「何年で費用にできるか」まで含めて選ぶ——それも、経営者の車選びの一つの視点になる。

この記事では、Sさんのケースを手がかりに、4〜5年落ちの中古車を事業用に購入する場合の償却の仕組みと、選ぶ前に確認しておきたい点を整理します。


まず押さえたい、3つのポイント


  1. 中古車の耐用年数は「簡便法」で計算できる
    使用可能期間の見積りが難しい場合は、「(法定耐用年数−経過年数)+経過年数×20%」で計算します。1年未満は切り捨て、2年に満たないときは2年です。
  2. 普通自動車の4〜5年落ちは、耐用年数が2年になる
    法定耐用年数6年の普通自動車(軽自動車は4年)の場合、4年落ちは(6−4)+4×20%=2.8年で2年、5年落ちは(6−5)+5×20%=2.0年で2年です。
  3. 早く経費にできても、経費の総額が増えるわけではない
    償却は購入代金を期間ごとに費用へ振り分ける仕組みです。経費にできる総額は取得価額が上限で、売却時の損益や、業務での使用実態もあわせて考える必要があります。

2年耐用年数
4〜5年落ちの普通自動車は、新車(法定耐用年数6年)の3分の1の期間で償却できる計算参考:国税庁 No.5404「中古資産の耐用年数」

経過年数ごとの耐用年数(普通自動車)


中古車の経過年数計算耐用年数
3年落ち(6−3)+3×20%=3.6年3年
4年落ち(6−4)+4×20%=2.8年2年
5年落ち(6−5)+5×20%=2.0年2年
6年以上6×20%=1.2年(2年未満は2年)2年

経過期間は月数で数えるため、計算上は、新規登録から約3年10か月(46か月)以上たった普通自動車であれば、耐用年数が2年になります。


参考:国税庁 No.5404「中古資産の耐用年数」(令和8年4月1日現在法令等)、goo-net マガジン「中古車の減価償却」(2022.5.31掲載・2023.8.29更新)


償却のしかた:定額法と定率法


耐用年数2年の償却率は、定額法が0.500、定率法が1.000です(国税庁資料)。償却方法を届け出ていない場合、法人は定率法、個人事業主は定額法になると解説されています。償却は取得した月から期末までを月割りで計算するため、期首に近い月に購入するほど、初年度の償却額が大きくなります。


要確認自社が届け出ている償却方法は、顧問税理士や過去の申告書で確認してください。


取得価額1,800万円の中古車(仮の例)を、購入月を変えて取得した場合の初年度の償却額の目安は、次のとおりです。


期末までの月数定額法(0.500)定率法(1.000)
12か月(期首に購入)900万円約1,800万円
9か月675万円約1,350万円
6か月450万円約900万円
3か月225万円約450万円

※取得価額×償却率×(期末までの月数÷12)で計算した編集部の目安です。定率法でも備忘価額1円は残ります。残りは翌期以降に償却されます。


車両本体・オプション・納車費用は取得価額に含め、重量税・自賠責保険料・自動車税・環境性能割・車庫証明・検査登録費用などは含めなくてよいと解説されています。


新車と4〜5年落ちの中古車、償却の違い


4〜5年落ちの中古車

  • 耐用年数は2年(簡便法)
  • 短い期間で費用化できる
  • 走行距離・整備履歴・事故歴の確認が必要

新車

  • 普通自動車の法定耐用年数は6年
  • 償却が長期にわたる
  • 状態は新品で、メーカー保証も受けやすい

「繰延べ」であって「得」ではない点に注意


償却費は、購入代金を何年かに分けて経費にする仕組みです。短い期間で償却すれば、その期の利益は圧縮されますが、償却が終わった後の期には償却費が出なくなります。経費にできる総額が取得価額を超えることはありません。


また、数年後に売却するときは、帳簿価額と売却価格の差額が損益として計上されます。償却を進めて帳簿価額が小さくなっている車ほど、売却価格が帳簿価額を上回りやすくなります。


要確認売却時の損益の扱いや、決算期をまたぐ購入時期の調整は、個別の事情によって異なります。必ず顧問税理士に確認してください。


値下がりしにくい車は、償却分が「利益」として戻ってくる


フェラーリや、メルセデス・ベンツのGクラス(ゲレンデ)のように中古相場が下がりにくい車では、ここが最大の論点です。結論から言うと、償却で経費にした分は、売却したときに売却益として戻ってきます。


売却損益は「売却価額 − 帳簿価額(未償却残高)」で決まります。2年で償却して帳簿価額が備忘価額の1円まで下がった車を売れば、売却価額のほぼ全額が利益になります。


売却価額(取得価額1,800万円)償却で経費にした累計売却益差し引きの実質負担
1,800万円(値下がりなし)約1,800万円約1,800万円ほぼ0円
1,350万円(75%)約1,800万円約1,350万円約450万円
900万円(50%)約1,800万円約900万円約900万円

※編集部の仮の例です。償却を終えた後に売却し、帳簿価額1円・売却費用は無視して計算しています。維持費・保険料は含みません。


つまり、実質的な負担は「取得価額 − 売却価額」です。値下がりしにくい車ほど、償却で先に計上した経費は、売却年度の利益として戻ります。償却は節税というより、課税の繰延べに近いことが分かります。


売却益はどう課税されるか



要確認個人事業主では、償却時は全額が経費になり、売却時は長期なら半分だけが課税対象になる、という差が出る可能性があります。ただし保有期間の数え方や私用との按分で結果が変わるため、法人の取扱いとあわせて、必ず税理士に確認してください。


Gクラス・フェラーリは実際に値下がりしにくいのか


Gクラスについては、買取実績をもとにした残価率のデータがあります。2026年10月20日更新の同サイトの集計では、2020年7〜12月の型式で58.6〜80.7%、2016〜2019年の型式で24.6〜66.2%と、年式や個体で大きく開いています。同サイトは、この数値での買取を保証するものではないと断っています。


フェラーリについては、今回の調査で信頼できる公表データを確認できていないため、数値は示しません。相場は車種・年式・走行距離・仕様で大きく変わるため、購入前に個別の査定で確認してください。


売却価額が高く残る車

  • 実質負担が小さい
  • 償却分は売却年度の利益として戻る
  • 売却する事業年度を選べるかが論点

売却価額が下がる車

  • 実質負担が大きい
  • 売却益は小さく、売却損が出ることもある
  • 償却の効果がそのまま費用として残る

購入前に確認すべきこと(チェックリスト)



Sさんの場合


Sさんは、新車のトルカルだけに絞らず、4〜5年落ちの中古車も候補に加えることにしました。

購入前には、「経過月数が46か月以上か」「期首に近い月に取得できるか」「業務での使い方を記録できるか」「数年後に売却する場合の帳簿価額はいくらになるか」の4点を、顧問税理士と確認してから決める方針です。


参考



冒頭のSさんは、説明のための仮の例です。
本記事は、公開情報をもとに、J.K. Wiltonコンシェルジュ編集部が編集・加工した一般的な情報提供であり、個別の税務・会計上の助言ではありません。具体的な取扱いは、必ず税理士等の専門家にご確認ください。


編集
J.K. Wiltonコンシェルジュ編集部
参考(一次)
国税庁
参考(二次)
マネーフォワード、goo-net、税理士法人みかげ、辻・本郷税理士法人、JCB
公開日
2026.11.05(参考の確認:2026.11.05)
ご注意
本記事は公開情報に基づく一般的な情報提供であり、個別の税務・会計上の助言ではありません。税制・償却方法の取扱いは、個々の状況や改正によって異なります。購入・申告にあたっては、必ず税理士等の専門家にご相談ください。
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