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【婚姻と養育費】日本では泣き寝入り多数の「養育費踏み倒し」だが…アメリカ司法「非情なまでに取り立てる」スゴい仕組み

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アメリカではどちらかが離婚を申請すればいつでも離婚が成立する(No Fault Divorce-無責離婚)

アメリカでの離婚環境は当然ながら、日本と事情が異なります。まず日本での離婚には、双方が合意しなければ基本離婚できません。それでも離婚をしたい場合には裁判所など判に断をゆだねて離婚をすることになります。これで、裁判を通して泥沼かつ不毛な戦いを延々とすることになります。一方が離婚を要求する場合には、「相手方に何らかの欠陥や問題があるから離婚をする必要がある」という大義名分を探す事になるわけです。その理由には、暴力、不倫、経済的な理由等を証明していく必要があります。

これとは対照的に、アメリカでは離婚は明快です。どちらかが希望すればいつでも離婚が可能です。日本の様にいちいち相手の問題点を指摘して、離婚の正当性を証明する必要は一切ありません。この離婚の形態は、アメリカでも2010年にニューヨーク州で適用されて、全州でこの方法での離婚が成立するようになりました。合理的と言えば合理的です。

アメリカでは、裁判所はそれぞれのカップルの離婚が正しいかどうかについては一切判断しません。どちらかが離婚をしたいと言えば、離婚を認める事になっています。アメリカでは、交通違反や離婚などには裁判所がかかわってくる事が多いので、裁判所や弁護士の仕事は多いのですが、少なくとも離婚すること自体において事務的処理面以外はかかわりません。

どんなに浮気をしても、暴力をふるっても、ギャンブルをしても、お金を入れなくても、それ自体は離婚手続きには関係がありません。逆にどんなに真面目で、献身的かつ相手方に協力的であっても関係ないという事です。つまり、どちらかが離婚を切り出せば、いつでも離婚は成立するという、何とも緊張感のある儚い関係によって成り立つ結婚生活という事になります。

アメリカでの離婚率 出典:Our World in Data (https://ourworldindata.org/marriages-and-divorces)

養育費の踏み倒しはできない

日本では裁判所で決定をした養育費等を片親が支払わないケースが多いようですが、アメリカではそういった事は一切おきません。各州に、裁判所で決定した養育費を定期的に取り立てて回収する公的機関が置かれています。この機関は、支払い義務のある片親への定期的な支払い請求や受領、計算などのすべてを代行して行います。もし支払いが滞ると銀行口座の差し押さえ、免許証、パスポートとの取り消しなどを警告して支払いを強力に促す取り立て機関として機能し、支払いが遅延した場合は銀行並みに金利が課せられる様に徹底されています。

このように親権を持たない親は、養育の支払いを子供が成人になるまで義務付けられて、それを踏み倒すことができない仕組みになっています。制度として成人までの経済的な負担をする様になっており、親権を持つ親や子供の経済的なサポートを強制的に行うようになっているのです。

日本の離婚率 出典:Our World in Data (https://ourworldindata.org)

日本とアメリカの制度の違いは結婚と離婚観の違い、というよりはただの怠慢か

日本では片親が相手方や子供に暴力をふるうような場合でも、相手方が納得しなければなかなか離婚ができないケースもあるようです。そうなると、子供が大きくなるまで親は離婚でない、そしてそれは再婚をすぐにできないという事になる訳です。もちろん、子供にとってはその方が良い場合もあると思います。

アメリカは離婚をすることは簡単ではあるが、同時に離婚後に片親が子供を育て、本人が生活するための制度が整備されています。日本のように離婚しにくい制度は、一見子供にとっては良いのかもしれません。しかし、形式だけ婚姻が維持されている家庭で育つのが本当に幸せでよい事であるかどうか、は別の話ではないでしょうか。

富裕層の再婚時には結婚契約書が必須

またアメリカで富裕層の結婚や再婚は、婚姻時に契約書を作成して取り決めするのが通常です。そちらの方がお互いに安心です。資産や収入が多い場合、結婚期間が長ければ長くなるほど、財産分与などの財務面での権利関係が生じて複雑になってきますので、これは必須ではないでしょうか。

日本は子供の連れ去り天国(であった)

更に日本では2014年にハーグ条約の子供の連れ去りに関する条約を締結するまでは、国際的な子供の連れ去り行為が認められていた、つまりは野放しになっていました。国際的な批判も浴びて2014年にやっと批准をしましたが、日本国内ではいまだに親権を持たない親の面会権の行使は強制力ではなく、あくまでも任意という事になっています。この点においては、日本ではいまだ親権を持たない親や子供の権利が守られていないのでは、という懸念が海外からは寄せ去られているようです。

ハーグ条約批准国の分布 出典:HCCH(https://www.hcch.net/)

対面や経済面重視の日本、実体(愛情)重視のアメリカ

日本ではお互いの愛情が全くなくなって実質破綻していても「結婚」という関係を維持する夫婦が多い一方で、アメリカでは愛情の存在が重視されます。アメリカでは「仮面夫婦」という関係は日本ほど多くは無いのです。というより、聞いたことがありません。むしろお互い惹かれ合う愛情が存在しているのか?という点が重視されるのです。そしてそれが無いのであれば即離婚に繋がります。

日本は少なくとも戦前よりははるかに物理的には豊かにはなっています。そうであるなら、もっと精神面でも豊かさを得られる様に実情に即した柔軟な婚姻制度を再構築しても良いのではないか、と感じます。もちろん子供の幸せも同時に守りながら、というのが前提にはなります。こうった柔軟性の無さも今の未婚化や少子化につながっている可能性もあるかもしれません。

尚、この記事は幻冬舎ゴールドオンライン(ヤフーニュース)にも掲載されました。

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