海運指数が上昇し資源関連通貨も上昇?
2009.03.25 投資関連
海運指数が上昇し資源関連通貨も上昇?
以下は米ブルームバーグ社のウエブサイトに掲載された2009年2月17日付け英文記事の抄訳です。
海上輸送コストは今年に入り2倍に跳ね上がり、今後クローネ、豪ドル、カナダ・ドルの値上がりが予想される。
「海上輸送費は147%上昇し、中国政府による5800億ドルの経済刺激策が原材料の価格を押し上げることが予想される」と、ピッツバーグのフェデレーテッド・インベストメンツ社で30億ドルを運用しているイハブ・サリブ氏は言う。これは原材料の輸出国にとって追い風になるとして、彼はノルウェークローネ・オーストラリアドル・カナダドルを「積極的に売買」しているという。
サリブ氏を初めとする通貨トレーダーはその投資戦略の決定指針としてバルティック海運指数を利用している。この指数は前述の3通貨を含むバスケット価格と関連性の強い動きを見せるようになっている。ブルームバーグの過去10年のデータでは84%の関連性を示していたが、昨年では実に96%を示している。
「歴史的に、バルティック海運指数は商品市場の動きを非常に良く表している指標である」と、自らの投資の詳細に関しては明言を避けながらもハリブ氏は語っている。「商品市場は現在非常に厳しい状況だが、長期的に考えれば魅力的な価格を呈している。市場が落ち着きを取り戻して回復に向かえば、商品と関連性の強い通貨は上昇するだろう」という。
海上輸送費の指標は、中国政府による住宅・高速道路・空港・発電施設に対する景気刺激策が国境を越えて広く世界的に影響を及ぼすであろうことを織り込んでいる。ドイチェ銀行が1月20日に発表した見通しによれば、景気刺激策関連予算のうち25%が2月28日までに支出され、中国経済は第3四半期と第4四半期で2.3%程度のマイナス成長を記録しつつもその後の半年で年率12%水準のプラス成長を成し遂げるだろうという。
石油価格の回復
中国は銅と鉄鉱石の最大の消費国であり、その需要に支えられて両商品価格は今年に入り約10%上昇した。オーストラリアとカナダはそれぞれその生産量の10%のシェアを占めており、価格上昇による利益を享受することとなった。ノルウェーの最大輸出品目である石油は第4四半期に1バレルあたり平均66ドルで取引されると見られ、1月1日以降の平均である40.62ドルを上回るというのがブルームバーグ調査に参加した34人のアナリストによる中期予想であった。中国は世界で2番目のエネルギー消費国である。
「もし中国経済の回復が商品市場の回復に寄与するのであれば、商品に強い関連性を持つ通貨の上昇にも繋がるはずだ」と、ロンドンに拠点を置くシティグループ通貨部門の部長であるジム・マッコーミック氏は語る。
今年はこれまでのところ、取引量の多い16通貨の中でクローネは米ドルに次いで2番目に強い動きを見せており、対米ドルでみても下落幅は1%以下(1米ドル=6.989クローネ)である。豪ドルは対ドルで9.2%の下落で1豪ドル=63.82米セント、カナダドルは3.5%下落の1米ドル=1.2631加ドルである。
指標の推移
ゴールドマン・サックス・グループの予想によれば今後6ヶ月のうちに豪ドルは11%上昇して1豪ドル=71米セント、クローネは14%上昇の1米ドル=6クローネになるという。しかし、加ドルに対しては弱気の見通しで、1米ドル=1.25加ドルとしている。しかし加ドルもまたシッピング指数に72%の関連性を示すことが過去5年間のデータで明らかになっている。
これら3通貨の対米ドル価格は海運指数に連動することが過去のデータにより示されることがバルティック取引所の調査で明らかにされている。
同指数は9月11日のテロ攻撃の影響を受けて2001年11月7日に2年半ぶりの低水準を記録した。その8ヵ月後までに前述の3通貨は平均9%上昇した。海運指数は2008年5月20日に11,793ポイントという高値を記録。その年の7月には豪ドル・加ドル・クローネは全て継続的な下落に直面した。結局年末にかけて、それぞれ27%、16%、27%の下げ幅を記録した。指標が今年の2月11日の最高水準まで2055ポイント上昇したのは2008年に92%下落した後のことだった。
『軽視される』有用性
ロンドンに拠点を置くミレニアム・アセット・マネージメント社で140億ドルの通貨ファンドを運用しているリチャード・ベンソン氏によれば、海運指数が下落を始めた昨年頃から、その指標の重要性が軽視される傾向があるという。
ベンソン氏によれば、「様々な情報を組み合わせることによって指標は非常に有用性を高めることができ、海運指数は確かにその情報のひとつである」という。「市場は同じ方向に向かって動いており、商品市場と関連の深い通貨には大きな上昇の可能性がある」とも語った。
投資家はこれら3通貨に対して買い姿勢であり、過去3ヶ月間にこれらへ投資していた人は昨年平均の4倍の上昇幅という形で利益を得ることができたのだと、ニューヨーク・メロン銀行のグローバル・マーケット戦略部長であるサマラジット・シャンカー氏は言う。
ミレニアム社では1月からクローネを、今月に入ってからは豪ドルを買い進めているという。クローネは対ユーロで5%上昇して1ユーロ=8.3クローネに、豪ドルは1豪ドル=72.50米セントの水準に達するだろうとベンソン氏は予想する。
拡大
フィッチャー・フランシスで290億ドルの運用をサポートするデビッド・ティアン氏によれば、同社は豪ドルとクローネへの投資配分を増やしているという。通貨ファンドの8%がクローネ、15%が豪ドルに投資しているという。
ティアン氏によれば、中国政府の融資額の増加を含む景気刺激策の有効性を示しているのが海運指数であるという。ちなみに、1月にはその融資額は2008年水準の2倍である1.62兆元(2370億ドル)に達している。
中国の「景気刺激策はまさに効果を発揮しつつある」とティアン氏は言う。「つまり、1、2ヶ月のうちに商品市場における需要の増加が顕著になると考えられる」ので、クローネと豪ドルに投資するのに今は「素晴らしいタイミングである」と語っている。
ハード・コモディティの回復は石油生産企業、農薬生産企業、採鉱業を行う企業の利益に寄与することとなるだろう。
輸出への向かい風
これら3通貨を自国通貨としている輸出企業にとっては、その通貨価値の上昇は逆風となっている。たとえば金属産出企業や金採掘企業などである。
中国単独の消費では、商品とそれにまつわる通貨への需要を支えるには不十分の可能性がある。先月IMFは試算を下方修正して世界の経済成長率予想値を0.5%まで切り下げた。これは戦後最も低い水準である。
ドイチェ銀行のストラテジストであるジョエル・クレーン氏は2月13日のレポートの中で「バルティック海運指数の上昇余地は未だ健在」だが、その上昇ペースは「ここ数週間のうち」はやや遅いかもしれないとしている。
また、アベルディーン・アセット・マネージメント・アジア社で1580億ドルの運用サポートを行うアンソニー・マイケル氏によれば、加ドルは豪ドルに遅れをとるかもしれないという。
「明るい」予想
「アジア地域のレバレッジ解消の動きによりオーストラリア経済は回復に向かい、その動きはカナダに比べて顕著である、というのが目下の見通しだ。」とマイケル氏は語り、加ドルに対して豪ドルの買いを推奨している。
一方で外為市場のボラティリティの高さはリスク要因として残っている。JPモルガンチェースのG7ボラティリティ指数は、オプション市場における今後3ヶ月の振れ幅を19%まで可能値として想定している。ちなみに過去4年の平均値は9.7%である。
「商品関連の通貨は今年いっぱいという期間で考えると魅力的だが、その上昇の継続が第1四半期までなのか、今年前半までなのか、それは分らない。長期で考えれば比較的大きな上昇が見込めると考えているが、投資時期については注意が必要である」とバークレーズキャピタルのスティーブン・イングランダー氏は語る。◆
以下は米ブルームバーグ社のウエブサイトに掲載された2009年2月17日付け英文記事の抄訳です。
海上輸送コストは今年に入り2倍に跳ね上がり、今後クローネ、豪ドル、カナダ・ドルの値上がりが予想される。
「海上輸送費は147%上昇し、中国政府による5800億ドルの経済刺激策が原材料の価格を押し上げることが予想される」と、ピッツバーグのフェデレーテッド・インベストメンツ社で30億ドルを運用しているイハブ・サリブ氏は言う。これは原材料の輸出国にとって追い風になるとして、彼はノルウェークローネ・オーストラリアドル・カナダドルを「積極的に売買」しているという。
サリブ氏を初めとする通貨トレーダーはその投資戦略の決定指針としてバルティック海運指数を利用している。この指数は前述の3通貨を含むバスケット価格と関連性の強い動きを見せるようになっている。ブルームバーグの過去10年のデータでは84%の関連性を示していたが、昨年では実に96%を示している。
「歴史的に、バルティック海運指数は商品市場の動きを非常に良く表している指標である」と、自らの投資の詳細に関しては明言を避けながらもハリブ氏は語っている。「商品市場は現在非常に厳しい状況だが、長期的に考えれば魅力的な価格を呈している。市場が落ち着きを取り戻して回復に向かえば、商品と関連性の強い通貨は上昇するだろう」という。
海上輸送費の指標は、中国政府による住宅・高速道路・空港・発電施設に対する景気刺激策が国境を越えて広く世界的に影響を及ぼすであろうことを織り込んでいる。ドイチェ銀行が1月20日に発表した見通しによれば、景気刺激策関連予算のうち25%が2月28日までに支出され、中国経済は第3四半期と第4四半期で2.3%程度のマイナス成長を記録しつつもその後の半年で年率12%水準のプラス成長を成し遂げるだろうという。
石油価格の回復
中国は銅と鉄鉱石の最大の消費国であり、その需要に支えられて両商品価格は今年に入り約10%上昇した。オーストラリアとカナダはそれぞれその生産量の10%のシェアを占めており、価格上昇による利益を享受することとなった。ノルウェーの最大輸出品目である石油は第4四半期に1バレルあたり平均66ドルで取引されると見られ、1月1日以降の平均である40.62ドルを上回るというのがブルームバーグ調査に参加した34人のアナリストによる中期予想であった。中国は世界で2番目のエネルギー消費国である。
「もし中国経済の回復が商品市場の回復に寄与するのであれば、商品に強い関連性を持つ通貨の上昇にも繋がるはずだ」と、ロンドンに拠点を置くシティグループ通貨部門の部長であるジム・マッコーミック氏は語る。
今年はこれまでのところ、取引量の多い16通貨の中でクローネは米ドルに次いで2番目に強い動きを見せており、対米ドルでみても下落幅は1%以下(1米ドル=6.989クローネ)である。豪ドルは対ドルで9.2%の下落で1豪ドル=63.82米セント、カナダドルは3.5%下落の1米ドル=1.2631加ドルである。
指標の推移
ゴールドマン・サックス・グループの予想によれば今後6ヶ月のうちに豪ドルは11%上昇して1豪ドル=71米セント、クローネは14%上昇の1米ドル=6クローネになるという。しかし、加ドルに対しては弱気の見通しで、1米ドル=1.25加ドルとしている。しかし加ドルもまたシッピング指数に72%の関連性を示すことが過去5年間のデータで明らかになっている。
これら3通貨の対米ドル価格は海運指数に連動することが過去のデータにより示されることがバルティック取引所の調査で明らかにされている。
同指数は9月11日のテロ攻撃の影響を受けて2001年11月7日に2年半ぶりの低水準を記録した。その8ヵ月後までに前述の3通貨は平均9%上昇した。海運指数は2008年5月20日に11,793ポイントという高値を記録。その年の7月には豪ドル・加ドル・クローネは全て継続的な下落に直面した。結局年末にかけて、それぞれ27%、16%、27%の下げ幅を記録した。指標が今年の2月11日の最高水準まで2055ポイント上昇したのは2008年に92%下落した後のことだった。
『軽視される』有用性
ロンドンに拠点を置くミレニアム・アセット・マネージメント社で140億ドルの通貨ファンドを運用しているリチャード・ベンソン氏によれば、海運指数が下落を始めた昨年頃から、その指標の重要性が軽視される傾向があるという。
ベンソン氏によれば、「様々な情報を組み合わせることによって指標は非常に有用性を高めることができ、海運指数は確かにその情報のひとつである」という。「市場は同じ方向に向かって動いており、商品市場と関連の深い通貨には大きな上昇の可能性がある」とも語った。
投資家はこれら3通貨に対して買い姿勢であり、過去3ヶ月間にこれらへ投資していた人は昨年平均の4倍の上昇幅という形で利益を得ることができたのだと、ニューヨーク・メロン銀行のグローバル・マーケット戦略部長であるサマラジット・シャンカー氏は言う。
ミレニアム社では1月からクローネを、今月に入ってからは豪ドルを買い進めているという。クローネは対ユーロで5%上昇して1ユーロ=8.3クローネに、豪ドルは1豪ドル=72.50米セントの水準に達するだろうとベンソン氏は予想する。
拡大
フィッチャー・フランシスで290億ドルの運用をサポートするデビッド・ティアン氏によれば、同社は豪ドルとクローネへの投資配分を増やしているという。通貨ファンドの8%がクローネ、15%が豪ドルに投資しているという。
ティアン氏によれば、中国政府の融資額の増加を含む景気刺激策の有効性を示しているのが海運指数であるという。ちなみに、1月にはその融資額は2008年水準の2倍である1.62兆元(2370億ドル)に達している。
中国の「景気刺激策はまさに効果を発揮しつつある」とティアン氏は言う。「つまり、1、2ヶ月のうちに商品市場における需要の増加が顕著になると考えられる」ので、クローネと豪ドルに投資するのに今は「素晴らしいタイミングである」と語っている。
ハード・コモディティの回復は石油生産企業、農薬生産企業、採鉱業を行う企業の利益に寄与することとなるだろう。
輸出への向かい風
これら3通貨を自国通貨としている輸出企業にとっては、その通貨価値の上昇は逆風となっている。たとえば金属産出企業や金採掘企業などである。
中国単独の消費では、商品とそれにまつわる通貨への需要を支えるには不十分の可能性がある。先月IMFは試算を下方修正して世界の経済成長率予想値を0.5%まで切り下げた。これは戦後最も低い水準である。
ドイチェ銀行のストラテジストであるジョエル・クレーン氏は2月13日のレポートの中で「バルティック海運指数の上昇余地は未だ健在」だが、その上昇ペースは「ここ数週間のうち」はやや遅いかもしれないとしている。
また、アベルディーン・アセット・マネージメント・アジア社で1580億ドルの運用サポートを行うアンソニー・マイケル氏によれば、加ドルは豪ドルに遅れをとるかもしれないという。
「明るい」予想
「アジア地域のレバレッジ解消の動きによりオーストラリア経済は回復に向かい、その動きはカナダに比べて顕著である、というのが目下の見通しだ。」とマイケル氏は語り、加ドルに対して豪ドルの買いを推奨している。
一方で外為市場のボラティリティの高さはリスク要因として残っている。JPモルガンチェースのG7ボラティリティ指数は、オプション市場における今後3ヶ月の振れ幅を19%まで可能値として想定している。ちなみに過去4年の平均値は9.7%である。
「商品関連の通貨は今年いっぱいという期間で考えると魅力的だが、その上昇の継続が第1四半期までなのか、今年前半までなのか、それは分らない。長期で考えれば比較的大きな上昇が見込めると考えているが、投資時期については注意が必要である」とバークレーズキャピタルのスティーブン・イングランダー氏は語る。◆


