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元本保証型のファンドについて

(事業法人及び一般個人投資家向け)

"Principle Guranteed Products ; How do they work and how to read them." by J.K. Wilton Research Institute, a division of J.K. Wilton & Company. October 17st 1999. All Copyrights Reserved by J.K. Wilton & Company, DE, USA

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■はじめに

世間一般で元本保証のファンドについてかなり誤った知識が広まっています。警告の意味も含めて元本保証のファンド(及びその他の運用商品)について説明をします。

つい1年から2年半前の間に、国内の証券会社からドル建ての元本保証の外国投信が大量に販売され、国内投資家によってかなりの額が購入されました。このタイプの外国投信における最大の特徴は「ドルでの元本保証により値下がりリスクを限定し、かつ、ヘッジ・ファンドの運用手法によって高い収益を獲得する事が可能」であったはずです。

日本にこれらの元本保証の外国投信が登場した際にも、既にその商品性の曖昧さには疑問を投げかけていました。しかし、同時に一般個人の投資家にとっては受け入れやすい商品性であった点も否定できません。さらに、このタイプの外国投信の中にも良好な運用成績を残しているものが僅かではありますが存在しています。いずれにせよ日本でこの時期に販売された元本保証外国投信の90〜95%が当初の大方の予想通り、殆ど収益を挙げていないのが実情です。

ここでは、「元本保証」のファンドの仕組みや分析ポイントについて説明いたします。

ちなみに、ここでは「元本保証」と呼んでいますが、日本国内では出資法等の関係でこの種の商品の販売時に「元本保証」という表現を使うことができません。「元本確保」等という表現を使うことが通常で、ほとんど同義語として使われています。

■「元本保証」:リスクとリターンの関係

「元本保証」のファンドの起源は、日本と同様に株式等の価格変動商品投資リスクに敏感な感性を持つ大陸欧州であると思われます。ご存知の方も多いかと思われますが、価格変動商品投資リスクに対して、フランス、ドイツ、スイス等の大陸欧州地域の国民は、日本のそれと同様に敏感です。また逆説的ですが米国以外の国はカナダを含めて基本的にはかなり日本に近いリスク感覚を持っています。

その米国では、「リスクの無い投資にリターンは存在し得ない」のであり、「元本が保証され、高い収益が期待できる投資は存在しない」と言うのが通常です。同時に米国内ではそう言った表現で商品を販売することは一切認められていません。米国債券の利回りを指す「無リスク金利」(Risk Free Rate)と言う表現に関しても、インフレ等による実質金利変動リスクが内在する事から適切な表現ではでないのではないか?といった議論さえもあります。

取りあえず、「リスクとリターンの関係」という投資の最も基本的な概念をまず念頭において読んでいただきたいと思います。

■元本保証の仕組み

まず、最も一般的な元本保証の仕組みを説明します。

ドルの「元本保証」は、通常は「無リスク金利」の収益のみを運用する事によって元本を確保しています。仕組み上もっとも合理的であり、残念ながらこれ以外の元本保証の仕組みは世の中には殆ど存在していません。

具体的な例をあげます。米ドルで100ドルを米国短期証券等「無リスク金利」(年5%とします。)を生む商品に投資を行えば3年後にはおおよそ115ドル手元にもどってきます。そこで、運用開始時点で資産の15ドルに限定して運用をすれば万が一この部分を全て損失しても必ず3年後には必ず当初の100ドルで投資家に返すことができます。同様に5年であれば資産の25ドル、10年であれば50ドルで積極運用を行います。

■期待収益率と元本保証の意味

注意して欲しい点は、全資産の中で限定された資産で積極運用を行うわけですから当然、期待できる収益率(期待収益率)は低くなる事です。

運用する期間が短ければ短いほど、そして、無リスク金利が低ければ低いほど期待収益率は低くなります。例えば円での無リスク金利をおおよそ0.5%とします。この元本保証の仕組みで3年間運用できる部分は資産のわずか1.5%程度です。ここから現状の市場環境において、円で元本保証をすると理論的には積極運用ができないため、期待収益率は殆どゼロに等しい、といえます。(国内で販売されている一部元本保証商品ファンドの仕組みについてはおそらく合理的な説明は存在しないと思えます。)

さらに、ドル運用であっても「10年後の元本保証」等の類の商品に関して、その意味をよく考えてみる必要があります。10年後に50%の収益獲得を固定できる市場環境で、この50%を損失した10年後の元本保証に明確な「経済的な合理性」は見当たらないからです。

ここではすべての「元本保証」の商品を否定する事を意にしていません。ただ、外資/国内、大手/中小の業者に限らず、90〜95%は注意が必要な商品であると言う事実をお伝えする事をその意にしています。

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