先だって、興銀、第一勧業、富士による新しい金融グループ誕生の構想が発表された。 株式市場にはおおむね歓迎されているようであり、今後、日本の金融業界に止まらず産業界にも飛び火すると予想されているようである。規模ではとにかく世界一の金融グループが誕生する事になる訳だ。
しかし、質(ROE、金融テクノロジー等)の面でも世界最高水準に到達する事が重要であろう。戦後、日本と同様に米国の占領政策の元で経済を発展させてきたドイツのドイツ銀行の戦略は、よい手本になるかもしれない。ただ、日本の銀行と根本的に異なるのはそのベースとなっている文化であろう。ドイツは文化的、宗教的、民族的に欧米近代文明の中心にかなり近い。一方、日本は欧米中心に構築された近代文明の中では異質な存在であり、国際金融界においても日本の金融機関はまだハンデを背負っている事を認識すべきではないだろうか?
今まで「負の資産」の処理ばかりに力を注いでいた日本の金融機関も、世界金融大戦争(?)というゲームのスタート地点に立ち、やっとファイティング・ポーズを取ることができた。
しかし本当の戦いは、まだ始まっていないのである。