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サーティファイド・ファイナンシャル・プランナ−(CFP) 落 義門

2001年3月30日

オフショア金融センタ−を活用した個人資産運用・防衛法 IV

第3回ではオンショアリスクの金融機関の信用リスク、超低金利リスクとインフレリスクについて述べました。今回はオンショアリスクの続きとオフショアマネ−ジメントの話です。

<社会保障負担増と増税のリスク>

日本は人口構成において少子高齢化と言う構造的な大きな社会問題を抱えています。国立社会保障・人口問題研究所の資料によると日本の出生率は1.38人(1998年調査)で史上最低。女性3人で一生涯に産む子供は4人です。一方、高齢者は増え続けて2020年以降、日本は人類史上未曾有の超高齢化社会を迎えます。年金や医療などの日本の社会保険制度は、若い世代から払い込まれた掛け金が高齢者への支払いに充てる賦課方式を採用しています。前述同研究所「日本の将来推定人口」の資料によりますと 2000年の日本の人口は推計値で126,892千人。そのうち生産年齢人口(15〜64歳)の割合は全体の68.1%、老年人口(65歳以上)は17.2%となっています。現在の年金は 4人の働き手によって1人の老人を支えている(4:1)構造になっています。 2010年にはこの割合が3:1となり 2030年になるとこの割合は更に悪化して2:1になります。これは、担ぎ手の負担が<御神輿→騎馬戦→籠かき>のように増していく仕組みです。乗り手も体重を軽くするなどして 担ぎ手の負担を減らさないと担ぎ手は足を取られて、よろめいたり、倒れたりしてしまいます。年金制度の将来の破綻が叫ばれている理由はここにあります。この賦課方式を維持する為には 国からの更なる国庫負担による援助が必要です。景気回復の為に借金を積み重ねて来た国と地方などの長期債務は 今年度末には666兆円に達し、これ以上の借金をし続けると大変な事態になります。日本の財政破綻を回避もしくは食い止める為には増税の道しかないと言われ始めました。

少子高齢化に伴う介護保険の新設、年金の掛け金負担率上昇、健康保険料の上昇、高齢者の医療費負担増などの社会保障給付費用の大幅増加や年金受給額の減額、年金支給開始年齢の引き上げなどの社会保障を取り囲む厳しい環境、更に将来消費税率の見直しなどによる増税によって生活が圧迫されることが十分考えられます。

<天災リスク・偶発リスク>

昨年10月6日震度6強 M7.3の地震が鳥取県西部を襲いました。それは1995年1月の阪神大地震のM7.2を上回る規模にも拘わらず、幸い死者は出さずに済みました。阪神大地震のときは財産・資産を一度に失い、どこにいくら貯金し、どこの保険会社からいくら支払われるか全くわからなくて、大変困った方が大勢いらしたと聞いています。何時起きてもおかしくないと言われ続けている大地震が関東を襲ったら、交通手段、通信手段、ライフラインは機能しなくなり金融機関と市場は大混乱をきたし麻痺状態になり可能性があります。その結果、地震の影響で市場と円が暴落します。又 ここ数年、異常気象による思いがけない自然災害が発生しています。 地震、火山爆発、台風などの天災の可能性、茨城県東海村で起きた臨海事故のような原子炉事故などの突発的・偶発的危機の可能性など考慮に入れておくべきです。

<オフショアマネ−ジメント(Offshore Management)>

海外にはオフショアマネ−ジメントの遂行にあたり、Onshore Riskをある程度回避して 安全で有利な条件を提供し財産保全を計る場所が存在します。それがオフショア金融センタ−になります。世界に存在する多くのオフショア金融センタ−が、非居住者に提供する共通の特典並びに有利性は3つあり、それらの特徴を生かして国際分散資産運用や国際税務計画などの利用が出来ます。

  1. 税法上の優遇処置が受けられる

    所得や保有資産に対して課税されない、もしくは課税されても低税率の為に 金利収入・配当収入の再投資による複利運用が出来 投資効率を高められる。譲渡税、不動産税、贈与・相続税に対しても税制上の優遇措置が有り、所得税対策、財産承継計画の場として利用出来る。

  2. 外国為替管理がない

    外国為替管理が無い為に資金の調達・運用が自由闊達に行える。流動性、安全性、利殖性の様々な金融商品が揃っており、運用手法に規制が少なく個性的な運用が可能。そこでは日本国内では販売されていない競争力を持つ魅力的な金融商品が提供されており、又新しい金融商品が生まれる素地が有り、これらの金融商品を組み合わせることによって リスクの分散とリタ−ンの最大化を目指す国際分散資産運用が行える。

  3. 守秘性が高い

    オフショア金融センタ−は、厳格な秘密保護法の適用により資産に関する情報の機密保持・守秘義務が徹底している。麻薬、武器、テロリストなどの犯罪に絡む取引を除いては、当該国の公式裁判所命令が無い限り、外部に投資家の情報は一切公示されない。◆

次回は世界の主なオフショア金融センタ−の分布と運用金額によるオフショア金融機関のサ−ビス内容について説明致します。

オフショア金融センタ−を活用した個人資産運用・防衛法 (3)

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