オフオフショア金融センタ-を活用した個人資産運用・防衛法 ⑦
オフオフショア金融センタ-を活用した個人資産運用・防衛法 ⑦
ファイナンシャル・プランナー 落 義門
今回はオフショアバンクの預金口座開設と利用方法についてお話致します。
★オフショアバンクの預金口座開設★
最近は、海外情報誌、金融雑誌やインターネット等によって容易にオフショアバンクを探す事が出来ます。そのサービス内容はまちまちですが、先ず最初の選択基準は 格付けがA以上で国際的ネットワークを持つオフショアバンクから選ぶのが好ましく思われます。次に最低預け入れ金額、預金利率、手数料率、サービス内容を検討して取引銀行を絞っていきます。日本に支店をもつオフショアバンクに預金口座を開き利用することは便利な点も多い反面、個人の秘密保持については万全とは言い切れません。個人のプライバシー確保の為には 日本に進出していないオフショアバンクへ電話、郵便、Fax、E-mail等で、直接コンタクトし資料及び開設書類を取り寄るのが良いでしょう。
口座開設申し込み書は英語で書くのが普通です。又、手数料体系やサ-ビス内容については添付資料に英語で記載されているのが一般的ですから ある程度の英語読解力が要求されます。英語に不慣れな方にとって申し込み書の記入内容は不明な点が多いと思われますので、オフショアバンク選択段階から オフショアに詳しいアドバイザーの助けを借り 手数料やサ-ビス内容、記入方法の説明を頼むほうが時間も節約できスムーズに運べます。
又、マネーロンダリング法(Money Laundering Statute)に因り、口座開設書類に加えて身分証明書類の提出が求められます。個人の場合は、通常 パスポート(写真とサインが載っているページ) の写し、住所確認の為の銀行取引明細やクレジットカード、公共料金の使用明細書等を用意する必要があります。最近は、上記の身分証明書類以外に公的機関による本人確認証明書も添えるようになってきています。
オフショアバンクの預金口座開設に際し最も注意すべきことは、「パスポートのサインを必ずローマ字で書く」ことです。それも真似されにくいサインを心がけることが必要です。オフショアバンクを含め海外の銀行に口座開設する場合、銀行はサインが本人のものであるか否かの確認を、パスポートのサインと照合します。海外では、銀行取引など国際契約には印鑑を使いません。すべてサインで取引が行なわれます。外国人には日本語(漢字)のサインは本人のものかどうか判別しにくいので 漢字のサインは認められないのが普通です。運良くオフショアバンクに日本人の銀行員や日本語の読み書きに精通している外国人がいれば話は別かも知れませんが、基本的に日本語のサインが通用する地域は東南アジアの国々、それも一部の国々とお考え頂いた方が良いでしょう。
預金口座開設において更に注意すべきことは、口座開設の名義人についてです。口座名義の届出には単独名義と共同名義の2種類があります。共同名義はA and B の両名のサインが揃って初めて銀行取引が有効になる連名方式と A or B のどちらか一方のサインにより銀行取引が行なえる連名択一方式があります。銀行に届けた署名者が万が一死亡した時に、その資金を引き出せなくなるリスクを回避する為には、A or Bの共同名義の連名択一方式で口座開設をしておくことが良いでしょう。尚、名義人は4人ぐらいまで登録が出来ます。
★オフショアバンクの利用方法★
前回お話致しましたように オフショアバンクのパーソナル・バンキング・サ-ビスの貯蓄口座は主に5種類用意されています。使用目的に応じて預金口座を使い分ける事になりますが、一般的に3種類の預金口座(Interest on Current Account, Call Account, Fixed Deposit Account―シリーズ⑥参照)があれば十分です。
先ず、Interest on Current Account(ICA)を開設します。小切手が使える当座預金でありながら ある一定の預金残高を維持すると利息が付き、資金が有効に使える口座です。又、クレジットカードやデビットカードを利用出来るようにしておくと更に便利です。国内発行のカ-ドは国内銀行口座で決済が行なわれますのでその使用明細が容易に把握されやすいのが難点です。しかし、オフショアバンクが発行するカードはオフショアバンクの口座を通じて決済される為に、使用明細が本人しかわかりませんのでプライバシーを保持することが出来ます。小切手やカードの使用でICAの残高が不足するような場合は、日本から送金したり Call Account を解約してICA に資金を移したり 又はオフショアバンクと事前に取り決めた当座貸越を利用して一時的に資金不足をまかなう事が出来ます。Call Accountは、ICA より利率が高くいつでも解約できる口座ですが、ある程度まとまった資金があり、その資金を必要とする時期が不明確な場合に利用します。まとまった資金があって当分使う予定がない場合は、更に利率の高いFixed Deposit Account を利用するのが良いでしょう。
3種類の口座を一度に開設する方法もありますが、ICAの口座 をまず開設しておいて 状況に応じてCall Account やFixed Deposit Account を新規開設することも考えられます。この場合、オフショアバンクにFaxや電話で依頼すれば簡単に新規口座が開設できます。現在オフショアバンクの円預金も日本国内金融機関と同様に わずかな金利しか付きませんが、為替市場の変動を睨みながらオフショア米ドル預金からオフショア円預金に預け換える事が出来ます。電話一本で為替の売買依頼が出来、為替手数料は極めて安く1米ドル当たり10銭~30銭ぐらいで済み、オフショアバンクに依っては無料のところもあります。わざわざ オフショア米ドル預金を日本に逆送金して、日本国内で円に換える必要は全くありません。オフショアバンクで利用できる預金通貨は豊富ですから、為替の動向によって柔軟な対応が出来ます。
例えば 米ドル、日本円、ユーロなどの通貨に分散して運用利回りを高めることも可能です。又、オフショアバンクに依っては、証券や商品のブローカー業務を行なっているところもありますので、オフショア預金口座を利用して株式・債券・商品の売買をすることも出来ます。
このように資金移動の受け皿としてオフショア預金口座を通じ 様々な金融取引が可能になりますが、もっとも魅力的なことは 日本国内で販売されていない高利回りオフショア・ファンドの購入の際に利用できることです。
次回はオフショア・ファンドについてご説明します。
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