低迷が続く先物ファンドは売った方がいいのか?
年初に好調な運用成績を上げた後4月に入ってからは低迷を続けている先物ファンドについてのお話です。低迷が長引いているため、不安に感じている方もいらっしゃると思います。
今回は代表的な先物ファンドであるマン・インベストメンツ社のAHLダイバーシファイドPLC(ADP)も例にとって解説をしてみます。
■■■■■■■■ADPが経験した過去の最大下落率は-21.1%■■■■■■■■
このADPは1991年から運用を続け、2003年の7月末まで17.7%の年換算収益をあげているマン・インベストメンツ社の旗艦ファンドであり、今のマン・インベストメンツ社はこのファンドによって作られたといっても良い程のファンドです。
このADPも他の先物ファンドと同様に今年の2月から7月末までに-17.5%もの下落をしています。これを見て「ADPはもう終わった」と思う人がいるかも知れません。
確かにこの下落は小さいものでは在りません。しかし、過去には-21.1%もの下落をも経験している点見逃してはならないでしょう。そして過去において10%以上の下落が4回があり、何れも下落に要した月数以内でその収益を回復している点も念頭に置いておくべきでしょう。
■■■■■■■■きっかけは米国景気過熱感によるは金利上昇■■■■■■■■
直接の引き金は、4月2日に発表された米国の雇用統計の数字です。新規雇用が予想以上に発生したとの発表を受け、景気過熱つまり金利上昇への警戒感が広まり、相場は大きく転換したのが原因です。現に6月、8月には米連邦準備制度理事会(FRB)はそれぞれ0.25%の公定歩合を上げています。そして市場では年末まで更なる0.5%の金利上昇を織込済み、と言うのがコンセンサスになっています。
ここ点から、ドルと商品市況のトレンドが完全に方向性を失い、その状態で9月まで続いているために先物ファンドは収益を上げることが難しい状況に陥っているのです。
これに加えて、アメリカの大統領選挙が11月に控えているため、金利、株式各市場においても方向性が定まらず、例え先物ファンドがシステマティックな「順張り(トレンド・フォロー)」戦略に加えて、多くの市場で売買をすることにより収益とリスクの分散を試みていても、 大きな収益を得難い市場環境が続いているのが現状であると言えるでしょう。
■■■■■■■■先物ファンドは売った方がいいのか?■■■■■■■■
ADPを含めた多くの先物ファンドの運用成績が低迷している原因は大まかにわかってきたと思います。
問題は、現状保有している先物ファンドは損切りを覚悟し売ってしまったほうが良いのでしょうか?また、新規に先物ファンドへの投資をするのは控えた方が良いのでしょうか?という点です。
答えは共に「NO」です。確かに今回の低迷は過去を遡って検証しても、決して小さなものではありません。しかし、先物ファンドは下ブレも大きい分、上ブレも大きいという収益特性をもって います。従って、現段階で売却することは、底で売却することとなり比較的大きな損失を確定してしまうことになるでしょう。
そして、一旦市場の方向性が定まり、低迷を抜け出す事ができれば先物ファンドの収益は、過去の最高値までは成功報酬料金が引かれる事が無いため、短い期間で比較的大きな回復が見込まれるのです。
そういった観点からは、オープンエンド・タイプの先物ファンドへの新規投資も、面白いかもしれません。いずれにしても今回の調整は予測の範囲内であると言ってよいでしょう。あせって売却せずにもう少し様子を見ることをお薦めしたいと思います。◆
|
|
<<ニュースの見出しに戻る
|
Top
Page
Copyright©
2001, J. K. Wilton & Company.
For further information contact webmaster@jkwilton.com