全米証券業協会(ナスダック)が2000年末までに新しいナスダック市場を 日本向けに開設し、ナスダック上場銘柄を円で取引できるようになる。
マスコミはこれに対して過剰な反応を示しているが、円でナスダック銘柄を 売買すること自体は革命ではない。原証券がドル建てである以上、 円で売買すれば、為替リスクと株価リスクと常に同時に とらなければならず、投資家にとって決してメリットではない。
ナスダック市場には、その代表的な銘柄であるマイクロソフトからペニー・ ストックと言われるぼろ株まで玉石混合の銘柄が上場されており、株価変動が 非常に大きい市場でもある。 この株価リスクに加えて為替リスクを同時に取るのは賢明な投資ではないだろう。 ナスダック株に投資をするならば、為替と株の投資は は分けて別々に行う方が投資家には有利なはずである。
従ってメリットは投資面ではなく、日本の零細企業がナスダックの上場基準に 沿った低いハードルで株式を一般公募し、円でナスダック市場で資金を調達できるよう になることであろう。ただこれには、会計基準を含めたその他規則を米国化することが前提条件になることは言うまでもない。
外圧をうまく利用して日本の資本市場が洗練され、活性化が一層進められれば 願ったりであるが、逆にこれをきっかけに日本の資本市場が牛耳られるような事 になれば、日本はアラスカ、ハワイに続く米国の第五十二番目の州の様に 成り下がってしまう危険性もあることにマスコミは気が付いているのだろうか?